#1 切実読書週報
こんばんは、切実です。
今週も一週間、お疲れ様でした。
前回のレターに返信をくださった皆様、本当にありがとうございます!毎日せっせと返信しているので、まだ届いてないよ〜という方も今月いっぱいゆるりとお待ちいただければ!何卒!もちろん、今回のレターも返信機能があるので、前回タイミング逃した〜という方や、毎回返信書きたいぜ!という方は送ってくださいまし。(今回からの返信は気まぐれになりますのでご容赦ください!)
吉本ばなな『キッチン』を再読した。
再読というか、付箋を貼ったところをパラパラと読み返したのね。今週は、彼との付き合い方でモヤることがあって、落ち込んだりムカついたりしていて、メンタルが不安定でして……。そんな状態で『キッチン』を手に取ったのは、神の思し召しかしら。パラパラとめくったページに、メッセージとも取れる文章があったの。
世界は別に私のためにあるわけじゃない。だから、いやなことがめぐってくる率は決して、変わんない。自分では決められない。だから他のことはきっぱりと、むちゃくちゃ明るくした方がいい、って。
正直、読んだその日は「たしかに〜」くらいにしか思わなくて。
それで次の日さ、やっぱりモヤりは止まらなかったから、仕事終わりに友達を呼び出して飲んで歌って、帰り道にセブンイレブンに寄ってアイスをPayPayで買ったら当たりが出て、その瞬間に腹の底でズガン!!と、この文章の意味が理解(わか)ったのよ。
そうだ、未来のことは分からないし、過去のことは変えられない。しかも、他人なんて分からない上に変えられもしない。じゃあ、今の自分をむちゃくちゃ明るく楽しく生きた方がいいじゃん!!って。
あれこれ思い悩んでも、どうせ思った通りの反応は得られないし、想像通りの結果にはならない。きっと、運命は元々決まっていて、足掻いたって流されたって辿り着く先は一緒。辿り着いた先で「これで良かったんだ」と思えるかどうかが大事。
『キッチン』がそういうことを伝えたいわけじゃないと思うけれど、読むタイミングで感想が変わる本って面白いな。恋愛に限らず、生きやすさ全般に通ずる考え方だなぁと思って、何度だって思い出しながら生きていこうと思った。
吉村萬壱『ボラード病』を読んだ
デビュー以来、奇想天外な発想と破壊的なモチーフを用いて、人間の根源的な悪をえぐるように書いてきた吉村萬壱が満を持して放つ長篇。B県海塚という町に住んでいる小学五年生の恭子。母親と二人で古い平屋に暮らすが、母親は神経質で隣近所の目を異常に気にする。学校では担任に、市に対する忠誠や市民の結束について徹底的にたたきこまれる。ある日亡くなった級友の通夜で、海塚市がかつて災害に見舞われた土地であると語られる――。「文學界」に掲載後、各紙誌で絶賛され、批評家を驚愕・震撼させた、ディストピア小説の傑作。
図書館で、花村萬月『ゲルマニウムの夜』と勘違いして借りた本なんだけど、今年ベストに入るくらい面白かった!……と、声高々に言いにくい作風ではあるのですが、私は好きなんだよなこういうディストピア小説。
あらすじから分かるように、これは3.11後の被災地を想像させる町の物語。同調圧力は圧力をかけらている時はしんどくても、一旦同調してしまえばどれだけラクに生きられるかということ。「絆」「つながり」「仲間」という耳障りのいい言葉で築いたユートピアで生きていく人たちと、そんな人たちを信用せず自分の目で現実を見つめて生きていく人。
誰が狂っていて間違っているのかが分からなくなる読書体験で一気読みだった。ラストは怒りと狂気が大きな岩になってまっすぐにこちらに転がってくるのを、アワアワと狼狽えながら待ち構えてたはずが、目の前でその岩がふと消えてしまったかのような、受け止めることすら許してくれないのか、と行き場のない不安が残る読後感だったな……。
好みが分かれそうな作品ではあるけど、文章としては読みやすいし文庫化もされているし、多分図書館でも順番待ちせずに借りられるような作品だから、少しでも気になった人は読んでみてほしい!
この本だけが好きなのか、吉村萬壱にハマれるのかを確かめたくて、『CF』も借りてきたので次のレターか動画で感想話すね!
あと、ボラード病が好きなら……とファンの方が勧めてくれた多和田葉子『献灯使』も借りてきたので(以下略)多和田葉子、好きかもしれんと思いながら読んだことがない作家なんだよね。どうかしら。
読もうと思ってる本
村田沙耶香『生命式』は、沙耶香ワールドにハマれるか知りたくて借りた本。面白かったら文庫化もされてるし買おうと思う。櫻木みわ『うつくしい繭』は、Twitterの好きな人が紹介していたので借りてみた。図書館で借りたら返すまでに読まなきゃと強制力が働くので活用していきたい(のと、給料日前で金欠だったのもある←こっちが本音である。)鶴見済『人間関係を半分降りる』は、ずっとAmazonのあとで買うに入ってるもの。『完全自殺マニュアル』を中学生(!)の時に親の本棚(!)から引っ張り出して読んでいて、それは自殺願望があったからではなく、自殺するという選択肢があり、その手順もあるのかという好奇心だったのだけど、その作者が今の時代にどんな本を書いたのかって興味がある。千葉雅也『現代思想入門』は、何度も本屋で見かけているにも関わらず、なんとなく買ってないもの。文學界8月号の入門書特集を読んで、意外と読みやすい文章を書くんだなと知れたので今月こそ買ってみようと思う。燃え殻『すべて忘れてしまうから』は、食わず嫌いしている‘Twitterの人の本’というジャンルなんだけど、たぶん好きなんだよな〜ということで、文庫化もされてるし抗わずに読もう。
ニュースレターとYouTubeは交互に投稿しようと思ってるのね、つまり次はYouTubeなんだけど、公開日を言っちゃうとプレッシャーになるから言わないでおこう!笑
みんなはどんな1週間でしたか?本は読みましたか?私はこうやって紹介してるくせに、今週は1冊も読み切れてません!ワハハ。図書館から本を持ち帰って家に置いておくだけの人になってたわ。来週は読めるといいな。読めなかったらしょうがないな!
それでは、最後まで読んでくれてありがとう!来週もがんばろう〜!
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