【#本読む私たち】大学生のあさんの読書遍歴
1冊目『旅猫リポート』有川浩
この絆は、恋愛を超える。カギしっぽのナナと心優しい青年サトルの、最後の旅の物語。野良猫のナナは、瀕死の自分を助けてくれたサトルと暮らし始めた。それから五年が経ち、ある事情からサトルはナナを手離すことに。『僕の猫をもらってくれませんか?』一人と一匹は銀色のワゴンで”最後の旅”に出る。懐かしい人々や美しい風景に出会ううちに明かされる、サトルの秘密とは。永遠の絆を描くロードノベル。
出会った年齢
18歳
きっかけ
有川さんの本を読み漁っていたため
コメント
“別れ”が下手だった。人のことが大好きな分、別れにめっぽう弱かった。こんなに寂しい思いをするなら出会わなければよかったと、離任式と卒業式には毎回思った。言葉にしたらあきりたりのものになり下がってしまう、そんな名前のない感情のぶつけどころがわからず自分の内側に持て余していた。21歳の今、この本に出会ってからどの瞬間を切り取っても"別れ"が上手になった。
ー“別れ”が上手になった、とのことですが、のあさんの思う上手な別れ方とはなんですか?
私は今まで"別れ"を、今まで当たり前にあった日常が無くなると思っていました。だけどそうではなくて、今までの日常にその人と出会うことによってたくさんのことをもらったのだと。その人と出会わなかったらそれはもらうことはなくって、だから何かなくなるわけじゃなくてむしろ貰っただけで、別れによって出会う前に戻っただけと捉えることができるようになり、それが私にとって上手な別れ方になりました。
エピソードとして、私は親友を亡くした時、二度と笑えないのじゃないかと思うほど自分の一部を失った感覚でいました。しかしこの本の考えかたにより、親友が亡くなったことでなにか減ったわけじゃなくて、親友にであえたことによって沢山の思い出をもらったんだと。この悲しみも含めてた親友との思い出も、親友が生きている間に出会えた人だけの特権なんだと思えました。
2冊目『あとは切手を、一枚貼るだけ』小川洋子・堀江敏幸
きみはなぜ、まぶたを閉じて生きると決めたの――かつて愛し合い、今は遠く隔てられた「私」と「ぼく」。消えた産着、優しいじゃんけん、湖上の会話……十四通の手紙に編み込まれた哀しい秘密にどこであなたは気づくでしょうか。小川洋子と堀江敏幸。二人の作家が互いの言葉に耳を澄ますと、思いもよらぬ謎が浮かび上がる。こよなく美しく、胸を震わせる小説世界。
出会った年齢
19歳
きっかけ
作者が2人ってなんだろうと気になったため
コメント
全文が比喩のようでふわふわしていた。柔らかくて遠回しで少し掴みづらかった。だけど、比喩だと感じた言葉が彼らの第一言語だった。
3冊目『暗幕のゲルニカ』原田マハ
暗幕の下にこそ、決して目を逸らすことのできない真実があるゲルニカを消したのは誰だ――? 衝撃の名画を巡る陰謀に、ピカソを愛する者たちが立ち向かう。現代と過去が交錯する怒濤のアートサスペンス! ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレータ ー八神瑤子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑤子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒濤のアートサスペンス!
出会った年齢
19歳
きっかけ
ゲルニカって美術で習ったな〜なんだっけ、と気になったため
コメント
美術の授業が面白くなかった。ペーパーテストじゃないから点数が取りにくくて嫌だった。アートと接点が一切なかった私の人生を大きく変えてくれた一冊。アートは生きてて、私たちはアートに生かされてた。アートは世界を変えるんだ。
ー原田マハ作品は他にも何か読みましたか?
『リボルバー』『たゆたえども沈まず』『モダン』これらのアート小説を読みました。共通して感じたのはアートは人や時代をうつし人の感情を揺らがせる。人が生きるにおいて必ず必要で、だからこそ今の時代まで人は手放さずに生きてきたのだと感じました。
4冊目『火花』又吉直樹
NHKでドラマ放送スタート!(出演・林遣都、波岡一喜、門脇麦)第一五三回芥川賞を受賞し、二〇一五年の話題をさらった「火花」が文庫化。受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」を併録。売れない芸人の徳永は、、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。
出会った年齢
19歳
きっかけ
芸人さんはどんな物語を書くのか気になったため
コメント
芸人さんから見える世界ではなくて、又吉直樹から見える世界を見た。当時の又吉直樹に見えてた景色をそのまま見た。私は、観客でも傍観者でもなく又吉直樹だった。その人に自分の気持ちを寄せることと、その人に自分が入ることは全く別物だった。
ー「私は観客でも傍観者でもなく」とのことですが、これらの違いをどのように定義していますか?
観客は能動的にお笑いの会場にいくお客さんで、傍観者はニュースなどで噂程度に聞いたりする人の感覚です。
ーこの文に続いて「又吉直樹だった」とありますが、主人公ではなく作者である又吉直樹に「自分が入った」ということでしょうか?
作者の又吉直樹に入りました。
5冊目『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵"とは?
出会った年齢
21歳
きっかけ
本屋大賞兼アガサ・クリスティー大賞受賞作のため
コメント
著者の逢坂さん。会社員の彼はインタビューで、戦争が嫌いだから書いたと話した。この物語は、彼の在り方を含めて触れるものだと感じた。
あなたにとって「読書」とはなんですか?
一冊の本はその瞬間の自分だと思うので、本を読むということは自分に出会うことだと思っています。
今読んでいる本を教えてください
柿内正午『プルーストを読む生活』
最後にメッセージどうぞ
幼い頃から本に触れ、10代で生きる豊かさと本が結びついたことが人生最大のギフトです。
編集後記
今回は大学生ののあさんにお話をお伺いしました。バラエティに富んだ本を紹介してくださって、のあさんのアンテナの高さを感じました。とくに「一冊の本はその瞬間の自分だと思う」というコメントに共感しました。何の本を読みたいと思ったのかで今の自分の状態や興味が分かるので、本屋に行った時に目的の本だけ探すのではなく、ふらっと一周してみると、自分でも思ってもみなかった本との出会いがあるかもしれませんね。
『#本読む私たち』は、隔週木曜日21時の配信を予定しております。
次回の配信が決まり次第、隔週日曜日21時に配信している『切実読書週報』にて告知しますのでご確認いただけると幸いです。
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