0326 短歌とルーマニア
こんばんは、切実です。ふつうの配信は2か月ぶりになってしまいました。雪どころか桜が舞っていますね。皆さま、いかがお過ごしでしたでしょうか。
わたしはというと、忙しかったというわけではありませんが、とにかくエネルギーがなく体調もオロロ……といった感じで、労働するだけで精一杯な状態の日々を送っておりました。
読書がほとんどできず、レターにして送るものがない、といった状態でした。2月3月と合わせても、読み切ったのは4冊。読み切れずパラパラとしただけの本を含めればもうすこし挙げられますが、脳に文字が入ってこなくてただ一定のリズムてページをめくるだけの時間ばかりで。
調子のいい日にガッとラジオを録ったり、『#本読む私たち』に取り組んだかと思えば、その反動で丸一日床に臥せっていた日もあったりと、節操ない暮らしぶりになっておりました。落ち込んだり病んでいたり、ということではないので心配無用です!元気に遊んでる日もたくさんありました。あと、これを書いている今はもう調子はほぼ戻っています。
何事もほどほどに、無理のない一定のペースで進められるとよいなと、そんな風に思っております。
インターネットラジオ『ツマモヨコの短歌百葉箱』にゲスト出演しました。
わたしはツマモヨちゃんの短歌がとても好きで、Twitterはもちろんnoteも読んでいるので、出演させてもらえてうれしかったです。このラジオでは、わたしが(ほぼ)はじめて作った短歌をツマモヨちゃんに講評してもらったり、事前にリスナーさんから募った「本」をテーマにした短歌の感想を言い合ったりと、たっぷり2時間以上もお話ししました。
ツマモヨちゃんはとってもクレバーで、講評を聞きながら言語化力の高さに感銘を受けました。感性の豊かさだけではなく、構成(感性と構成って印踏んでるね)まで意識して読み取っていてすごいな~と思いました。(この語彙力のなさよ)。
ラジオでも言っているけど、短歌って「国語の授業のハズレ単元」ってイメージがあって。小難しい長文が読みたかった学生時代のわたしからしたら、詩・俳句・短歌って、正解が曖昧というか、どう感じたらいいのかわからないし、なんなら良いとも思えないし、こんな感覚的な短文から読み取れることがほとんどないと思っていたんです。今も正直、詩と俳句は良さがわからないままですが、現代短歌はわりと好きかも、これが好きかも、と思えるくらいには扉が開かれてきました。
そらで言えるくらい好きなのは、木下龍也さんの「邦題になるとき消えたTHEのような何かがぼくの日々に足りない」と「キスまでの途方のなさに目を閉じてあなたのはじめましてを聞いた」です。これは、数年前の夏に図書館で歌集と知らず借りた、木下龍也・岡野大嗣『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』(ナナロク社)に掲載されていたものです。
今回じぶんで作ってみて、作れたとき、これは誰かの影響を受けているだろうか、と考えました。歌集はほとんど読んだことがなく、Twitterで流れてくるものに触れる程度で、でもきっとすべての影響を受けてるんだろうなと思いました。触れた文章だけでなく、誰かとの会話や電車の広告、ぼんやり見てた深夜のランク王国とか、ミニストップのホットスナックっておいしいなとか、そうやって生活の中で好き勝手に感受したものものが、この短歌を作ったんだろうなと。
わたしの短歌はこちら。良かったら今日のレターの返信機能を使って、どの短歌が好きか教えてくださいね!
仕事の休憩中とかにせっせと考えました
ツマモヨちゃん、この度はこのような機会を作ってくれてありがとうございました。次回の『#本読む私たち』はツマモヨちゃん回となっていますので、お楽しみに。
ラジオアーカイブはこちら。
『#千葉ルー』を読んだ
正式な書名は『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』です。作者は済東鉄腸さん。
以前から、オモコロの原宿さんの言語センスはどこから来ているんだろうと思っていて(『ドラグ=ナイツ』の回とか最高に好き)、結構本を読むらしく(オモコロに時々ある文学回的なものによく出てるし)、しかも人文書とか好きだし本屋で働いてたこともあるって聞いて。今回そんな愛しの原宿さんが、ジュンク堂で選書しているのをツイートで見て猛烈に気になって買いました。
オモコロライター@omocoroの5名方々に、人生に影響を与えた本を選んでいただきました💨
岡田悠さん@YuuuO
原宿さん@haraajukku
梨さん@pear0001sub
JUNERAYさん@_June_ray
恐山さん@d_v_osorezan
POPのコメント力、すごいのでぜひ読んで!
結果、一気読みしました。居酒屋でたまたま隣に座ったお兄さんにぶしつけに話しかけられて、最初はいやなんだけどなんとなく逃げれなくて聞いてたら、いやめっちゃ熱いじゃんその話、ってなるような押し寄せてくるむさ苦しさが、うーん、むさ苦しいんだけど癖になってくるみたいな文章のリズムが新しくて面白かったです。
物語としては、大学を卒業してからずっと千葉の実家で引き籠もってた男性が、とあるルーマニア映画に出会って、ルーマニア語に魅了され、独学でルーマニア語を習得して、千葉の実家の自室にいながらルーマニアで小説家になったというもの。
著者は数少ないルーマニア語テキストのほかに、ルーマニア映画とネトフリ字幕の活用と、あとはフェイスブックでルーマニア人に友達申請しまくってコミュニケーションを図るっていうやり方でルーマニア語を取得していって、それをず~っと自室でやってるんですよね。基本、インターネットでやってる。すご。インターネットってすご。
そして、なぜルーマニア語。テキストもほぼないようなマイナー言語で、しかもそれを習得するだけでなく実際に使って文章を書き、現地で小説家になるなんて、あなたは選ばれた人だったんですね!と思いたくなります。ですが、努力、してます。運、あります。やってみよう精神、あります。「俺が俺が」と捲し立てるように、やったことを伝えてくれますが、なんかすがすがしいんですよね。くすぶりからの突抜け方が気持ちいいです。
この本の好きなところは「俺が俺が」ではあるんだけど、『俺の成功物語!~お前らも努力しろ~』って感じじゃないところです。それなのに、読みながらふつふつとお腹が熱くなるような、目がバキバキになるような、「わたしも頑張るか!」と思っちゃえるような、そんなエネルギーをもらえるのが魅力です。
たしかに、冷静に読むと著者はかなりの行動量だし、実際運がよかった部分もあると思う。「わたしがやってもこうはならないだろうな」と興醒めしそうにもなる。でもならない。それは、この特徴的な語り口がまぎれもなく「わたしに語り掛けてくれている」からだ。応援したくなる。すごいな!って純粋に思えるまっすぐさがある。
引きこもりで自分なんか、って絶望の底の底の底んとこで膝抱えてるような人にも、社会になじんでそれなりにやってっけどなんだかな~って人にも、ルーマニア語に興味がある人にも!みんなにかならずガツンとくる熱さをかんじてほしい一冊です。
今なんかすごく文章を書きたい気分なので、どんどんストックを作っているところです。やっぱり文章を書くのってすごく好きで、わたしに合っていると感じます。動画作成も好きなんだけど、あれはかなり元気があるときじゃないと完成させることがむずかしいんですよね。思った通りにしゃべれないだとか、編集が面倒に感じたりだとか(これは波があって編集が楽しくて凝りたくなってしまう時期もある)、なのでYouTubeはしばらくラジオがメインになると思います。
ちなみに、ラジオはYouTubeだけじゃなく、SpotifyとStand.fmでも聴けるようになっていて、とくにStand.fmで聴くと広告が無いらしいので、寝るときはそっちがおすすめです。
さて、皆さんはこの2か月、どんなことがありましたか。よかったら、レターの返信機能を使って教えてくださいね。返信はお約束できませんが、かならず読みます。お約束できないだけで、する可能性もあります。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。また、次回のレターでお会いしましょう。以上、切実でした。
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